「検査」と「測定」の違い

「検査」と「測定」は、いずれも品質管理や品質保証のために行われるプロセスですが、その目的や方法には以下のような違いがあります。

「検査」とは

「検査」とは、製品や材料、サービスなどの規格や基準に従って、その品質や性能が要件を満たしているかどうかを評価することを指します。検査は、品質管理や品質保証の一環として行われることが多く、製品やサービスの信頼性や安全性を確保するために重要な役割を果たしています。また検査は、目視検査というように定性的な評価を行うことも含まれ、例えば、製品の形状や外観、材料の強度や硬度、サービスの手順やマニュアルの正確性なども検査の対象となります。

JISにおいては、「検査」という用語について以下のように定義されています。

「検査」

品物又はサービスの一つ以上の特性値について,測定,試験,検定,ゲージ合わせなどを行って,その結果を規定要求事項と比較して,適合しているかどうかを判定する活動。

JIS Z 9051-1:2006 計数値検査に対する抜取検査手順―第1部

また、「検査」という用語に関連する用語として、「検査計画」「検査方法」「検査項目」「検査結果」などが規定されています。

「測定」「測定器」とは

「測定」とは、ある対象や現象について、数値や数量を求めることを指します。測定を行うことで、対象や現象の特性や性質を客観的に把握し、評価することができます。測定は、一般的に定量的な評価を行うために行われることが多く、測定値の精度や正確性が重視されます。測定は、科学や工学、医療、環境、品質管理などの様々な分野で重要な役割を果たしています。

JISにおいては、「測定」という用語は以下のように定義されています。

「測定」

ある量をそれと同じ種類の量の測定単位と比較して,その量の値を実験的に得るプロセス。

「測定器」
「計測器」

測定を行うために,単独で,又は1台以上の補助装置と併せて用いる装置。

JIS Z 8103:2019 計測用語 – 基本用語

「検査」と「測定」の違い

上記で説明したように、「検査」と「測定」は、品質管理や品質保証において異なる目的や方法で行われるプロセスです。「検査」と「測定」には以下のような違いがあります。

「検査」は、規格要求から定めた検査規格、検査基準を満足しているかどうかを判断します。要するに規格、基準に対し合否や良い悪いの判定を行う行為です。それに対し「測定」は、測定器を使って製品の寸法などの数値や数量を求める行為であり、良い悪いの判断を伴いません。