比較測定器 ①:比較測定器とは

比較測定器とは

測定方法の分類」で「比較測定」について説明しましたが、JIS規格での定義では以下の通りです。

「比較測定」

同じ種類の量と比較して行う測定。
例 ブルドン管圧力計で,既知圧力と測定圧力との指針の振れを比較して行う測定

JIS Z 8103:2019 計測用語 – 基本用語


また、wikipediaの「測定」の項目では以下のように説明されています。

既知の量で校正された目盛を読み取る測定や何かしらの基準値との差を測定する方法を比較測定 (relative measurement)という。

wikipedia – 測定

補足すると、「比較測定」はある基準値や標準物質と比較して測定対象の特性や性質を測定することで、例えば”長さ”の測定において、ブロックゲージなどの基準片と測定対象を交互にダイヤルゲージで測定して、その差から測定対象の長さを求める場合が挙げられます。
「比較測定」を行うための測定器を総じて「比較測定器」と呼びます。当社では「比較測定器」を以下のように説明しており、”長さ”を測る測定器、その中でも”内径”、”外径”、”高さ(幅)”、”面取り”を測る測定器と限界ゲージをメインに取り扱っています。

比較測定器とは・・・

内径、外径、高さなどを測定する際に、測定部位の寸法に合わせて予め準備したリングマスターやブロックマスターなどの基準ゲージ(マスターゲージ)と比較して、基準ゲージからの差を求める測定方法を比較測定と呼びます。
比較する際にダイヤルゲージを用い、基準ゲージからの差を数値で求める測定器(「内径測定器」「外径測定器」「高さ測定器(平面スタンド)」「面取り測定器」)と通止めで判定する「限界ゲージ」に分類されます。

なお、「限界ゲージ」について補足すると、機械部品の寸法が許容される寸法公差の範囲内にあるかどうかを検査するために用いられるゲージです。最大許容寸法の”通りゲージ”と最小許容寸法の”止まりゲージ”からなり、”通りゲージ”が通り、かつ、”止まりゲージ”が止まる(通らない)場合に、“公差内にある”つまり“合格”と判定されます(下図参照)。

比較測定器の特徴

「比較測定器」の特徴ですが、メリットとしては個人誤差や繰り返しの誤差の小ささ、言い換えれば、高い繰り返し精度、効率性のよさなどが挙げられ、デメリットとしては測定範囲の狭さ、専用になりがちということが挙げられます。このように、「比較測定器」の測定は容易で測定誤差は小さく抑えられるため、測定器具の校正や製品の品質管理(量産品での繰り返し測定など)などでよく使用されています。

表.比較測定器の特徴
測定器メリットデメリット使用用途例当社製品
比較測定器・個人誤差の小ささ
・高い繰り返し精度
(繰り返しの誤差の小ささ)
・効率性のよさ
・測定範囲の狭さ
・専用になりがち
・測定器具の校正
・製品の品質管理
内径測定器
外径測定器
高さ測定器
(平面スタンド)
面取り測定器
限界ゲージ

次の画像は外径測定器および外径用限界ゲージの使用例です。

図.外径測定器
図.外径用限界ゲージ(手前:通、奥:止)